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これから始まるOBD車検を知っていますか?そもそもOBDって何なのでしょう?

投稿日:2021/08/11

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皆さんはOBD車検というものをご存知でしょうか。車検時に故障診断ツールでOBDを確認するという試みが始まるようです。今回はこの「OBD車検」について紹介します。いずれ車検の中身にOBD車検も含まれるようになるのでしょうか。

OBDとは?

まず『OBD』について紹介します。『On-Board Diagnostics』を略称したもので「車載式故障診断装置」と訳されます。車検時に法定スキャンツール(診断機)で車両にトラブルが無いか、車両コンピューターをチェックします。主にABS(アンチロックブレーキシステム、ESC(横滑り防止)、自動ブレーキやレーンキープアシストなどの運転支援装置、排気ガス装置の不具合などの点検を行うので重要項目を的確に点検できるメリットがあります。OBD車検の目的は自動車に内蔵している電子制御システムが「正常に動いているか」という点を検査することです。電子制御システムの誤作動による事故やトラブルを未然に防ぐため大切な点検です。近年、ADASと呼ばれる自動ブレーキや運転支援のシステムが導入されているため、「正常に動くか」「経年劣化による誤作動はないのか」といった目に見えないトラブルを防ぐための目的があります。

OBDの仕組み

OBDの仕組みについて簡単に紹介します。

警告ランプで見つけられない車の不具合や故障を、スキャンツール(診断機)を使って検証する点検です。自動で車両コンピューターに記録された故障や内容を把握できる仕組みになっています。OBD車検では、取得した情報を『自動車技術総合機構』のサーバーに送り合否が端末に返ってくる流れです。

OBD車検が正式に始まる予定は次のようになっています。

<OBD車検開始時期>

・国産車:2024年10月以降

・輸入車:2025年10月以降

2021年10月にプレテストが開始されます。陸運局へ持ち込まれた「継続車検」の車両で希望者に実施することとなっています。仮に故障コードが検出されても実際に「不合格」の結果になるのは上記のOBD車検が開始してからです。故障コードが検出された時は整備工場やディーラーなどに持ち込んで整備・点検してもらうことをおすすめします。

OBD車検のメリットとは

OBD車検のメリットについて紹介します。

1:保安基準に抵触していないか的確に検出できます。

故障コード(特定DTC)を確認することで目に見えない電子制御に不具合が発生していないか判断できるので、保安基準に抵触していなかも判断できるようになります。OBD車検では安全に関わる重要項目の電子制御に異常がないかも合否判定に加わります。

2:より詳しく故障内容が分かる

警告ランプが点灯し故障した場所を探ったとしても『故障した場所がどれくらい、どんな形で壊れているのか』を把握することはとても難しいですが、診断機で確認する故障コードなら「故障箇所の故障度合いや理由」などの情報を把握することができます。

3:警告ランプの不具合を検知することが容易になる

警告ランプが点灯すればドライバーが異常に気付きますが、反対に「異常が出ているのに警告ランプが点灯していない」状態が問題です。警告ランプが点灯しなくても内部でトラブルが発生している場合があるので、OBD車検ならドライバーや点検者(整備士)が気付かない故障をいち早く発見することができます。

4:人為的ミスや不具合・故障の確認漏れを防ぐ

人為的ミスを防ぐことができる点はOBD車検の大きなメリットです。100%の安心・安全を確保してもらいたいと思いますが、人が点検しているので車検時でも100%のミスなく点検・整備ができるとは限りません。OBD車検なら不具合や故障が可視化できるようになり、漏れなく迅速に点検できる点もメリットです。

OBD車検対象車両

プレテストから当面の間は「陸運局に持ち込まれる車検車両」が対象です。整備工場やディーラーなどでは受け付けていないので、OBD車検を受けたい方は陸運局にもっていきましょう。

<具体的な対象車両:新型車>

・型式指定自動車または多仕様自動車

・乗用車、バス、トラック

・2021年以降に販売する新型車(輸入車は2022年以降)

※2021年よりも前に販売された車は検査対象装置を内蔵していても検査対象外です。

(検査対象装置:排出ガス等発散防止装置、運転支援技術、自動運転技術)

OBD車検はプレテスト段階から車両1台につき400円の費用がかかります。「ECU情報」「特定DTC情報」などのOBD車検において欠かせないデータを自動車技術総合機構が管理するための費用です。

OBD車検の合否について

「特定DTC」の検出結果で1つでも故障コード(特定DTC)があった時点で「不合格」となります。特定DTCの合否判定は通信エラーが原因のこともあり得る点が問題視されていますので、救済措置などプレテストを通じて検討されるかもしれません。

DTCは『Diagnostic Trouble Code』の略称名で故障コードのことをさします。安全装備の現在の状況を確認したり、記録された不具合の有無を発見したりすることで点検整備に役立てます。引き起こされている不具合が自動車のコントロールを不能にする可能性があり、その結果重大な事故を引き起こすとなれば大問題となってしまいます。そのためにも目に見えない不具合や故障を発見することができるOBD車検は必要であると言えます。衝突被害軽減ブレーキ等の自動運転技術などが幅広い車両に搭載され交通事故防止に期待できるものの、先進支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems/ADAS)の不具合が原因で事故が発生することがあるかもしれません。OBD車検は確実に安全であることを保障するために必要なものであり、ユーザーとしては誤作動を起こさないためにも電子制御に異常がないか定期的に点検することも大切な時代になってきています。

OBD車検の注意点

OBD車検では重大事故の発生、技術発展などによって内容が適宜変わることがあります。また走行時の故障コードを特定DTCに含んでいないためその点が今後どのように取り組まれていくかがまだ決定していないのですが、走行状態を記録する故障コードを含めると検査負担が大きくなってしまうことなど問題があります。また新型車両でないと検査対象になりません。「新型車両」であったとしても、国産車であれば2021年9月30日以前の発売モデルは対象外となります(輸入車は2022年9月30日以前に発売)。

まとめ

OBD車検が導入されることでこれからより安心で安全な車社会を確立することができると期待が高まります。これから始まる物事は不安点や問題点などが山積する傾向がありますが、プレテストから改善し2024年の開始時にはスムーズにOBD車検が行われることを期待しておきましょう。整備工場にとってもOBD車検に向けて準備をすることがたくさんあるため、2021年の段階では整備工場ごとに対応の差が出ているのが現状です。特に輸入車になれば故障コードの読み取りに対応できる整備工場が少ないのが現状です。輸入車整備は信頼できる整備工場へお任せすることが大切です。

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[Dr.輸入車ドットコム編集部]

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