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輸入車整備事例
焦げ臭い匂いと駐車場を汚してしまう原因を修理 ~プジョー 308 エンジンオイル漏れ修理~
投稿日:2020/03/14
自動車修理の中で多い作業のひとつに“オイル漏れ修理”があります。 漏れてしまうオイルはエンジンオイルやミッションオイル、パワーステアリングオイルなど様々あり、酷い状況になると駐車場に漏れたオイルが溜まってしまう事もあります。
この事例では、フランス車のプジョー308のエンジンオイル漏れ修理をご紹介します。 その前にオイル漏れについて少しお話させていただきます。
オイル漏れはメカニックの判断を
オイル漏れは部位や量などによって早急に修理が必要となる場合もあれば、洗浄して少し経過を見るといった場合や、オイル漏れ防止添加剤で改善するもあります。 人間で言うと出血している状態であり、すぐに手術が必要なレベルか、かすり傷程度なのか見極める必要があり、ココはメカニックに判断を仰ぐのが賢明です。
輸入車のオイル漏れ原因は
輸入車は国産車に比べてオイル漏れが起こりやすい傾向にあります。 これは輸入車の品質が悪いといった訳ではなく、海外の環境下で設計された輸入車にとっては、高温多湿の日本の環境ではパッキンやガスケットの劣化が早くなってしまう事に起因します。
昨今はオイル漏れ修理が多いのはこんな理由が
ひと昔前は多少のオイル漏れならそのままにしておくといった傾向にありましたが、昨今は少量のオイル漏れでも修理する事が非常に多くなってきました。
それはなぜだと思いますか?その大きな要因は立体駐車場の普及です。 特にマンションでは住民用の駐車場は立体駐車場になっている事が多く、オイル漏れがあると下の車を汚してしまう事になってしまうため、少しのオイル漏れも修理しなければならなくなってきました。
特定が難しいオイル漏れ
メカニックにとってオイル漏れ箇所の判別は難しい場合が多くあります。 明らかに漏れている場合はすぐに判断できますが、長期間かけて漏れている場合は、走行風などによって広範囲に漏れたオイルが広がっているため、特定するのが非常に難しいのです。 メカニックは車両ごとのウィークポイントから判断したり、洗浄とテスト走行を繰り返しながら修理箇所を特定していくので、オイル漏れ修理は意外と難しい修理作業でもあるのです。
オイル漏れ修理事例をご紹介
それではプジョー308のエンジンオイル漏れ修理事例をご紹介します。 ユーザーさまは走行中や駐車中に車から焦げ臭い匂いがする事に気付き、その後自宅の平面駐車場にオイルが漏れていたため、点検依頼をいただきご入庫されました。
ご入庫時も車から少し焦げ臭い匂いがします。 メカニックは早速エンジンルームの点検と作業リフトで車両下側から点検を行い、洗浄とテスト走行を繰り返した後に修理が必要な所を2ヵ所特定しました。
オイル漏れは2ヵ所
まず1ヶ所目はシリンダーヘッドカバーです。 ここはエンジンの一番上に取り付けられているカバーで、タペットカバーやバルブカバーとも呼ばれるパーツです。 カバー上部に繋がるブローバイガスホース部分から少量のオイル漏れがあり、長期間かけて漏れたオイルがカバー上部に溜まっていました。
この漏れたオイルが熱せられたエンジンによって焦げ臭い匂いを出していたようです。 パーツを調べるとシリンダーヘッドカバーはオイル漏れ対策部品に変更されていて、それに合わせてブローバイガスホースが繋がるエアーダクトも同時交換に指定されていました。ここからのオイル漏れ事例が多く、自動車メーカーとしては対策をしなければならないと判断したのでしょう。
もう1ヶ所のオイル漏れは、オイルコントロールソレノイドバルブからでした。 オイルコントロールソレノイドバルブはカムシャフトプーリーで行う可変バルブシステムの油圧コントロールを行う重要パーツです。 シリンダーヘッドのインテーク側に取り付けられていて、非常に高い油圧がかかる事もあり、オイル漏れが発生すると多くのオイルが漏れてしまいます。 この車両もじわじわと漏れて、エンジンアンダーカバーに漏れたオイルが溜まっている状態でした。
修理工程をご紹介
今回はユーザーさまとご相談のうえ2ヵ所とも修理する事となり、部品を注文して入荷後に早速作業に取り掛かります。 シリンダーヘッドカバーからのオイル漏れ修理は、カバーとエアーダクトを交換します。
シリンダーヘッドカバーを取り外すとカムシャフトが現れます。
走行距離は10万キロを超えている車両ですが、エンジンオイル交換もしっかり行っていることが伺えます。 メカニックにとっては作業時に修理箇所以外もしっかり確認しておくことで、この先に必要なメンテナンスが無いかという事も確認しているのです。
シリンダーヘッドカバーの対策部分は外観からは分かりませんが、向かって右側に繋がるブローバイホース取り付け形状が変更されています。対策部品に交換したので、この先は安心してお乗りいただけますね。
続いてはオイルコントロールソレノイドバルブの交換です。
このソレノイドバルブはエンジン裏側に取り付けられているので、ターボ用エアーダクト類を取り外し、エンジン裏側に手を突っ込んで手探りで交換しなければなりません。少し作業し辛いですが、無事交換終了です。
今回の修理費用
交換後に洗浄とテスト走行を行い、オイル漏れがない事が確認できたので修理完了となります。 今回の修理代は、シリンダーヘッドカバーの交換は部品代と作業工賃の合計で約6万5千円、オイルコントロールソレノイドバルブ交換が部品代と作業工賃の合計で約2万円となりました。 しっかりと修理させていただきましたので、これで焦げ臭い匂いで不安になることも駐車場がオイルで汚れてしまう事もありませんね。
まとめ
オイル漏れは不安になる匂いや駐車場の汚れだけでなく、場所によっては非常に危険な場合もあります。例えばターボチャージャーやエキゾーストマフラー付近で漏れた場合は車両火災を引き起こす可能性があり大変危険です。オイルは漏れて減った分を補充すれば大丈夫といった考え方もありますが、非常に危険な場合もある事を知っていただき、車両からのサインでもある匂いなどにも気を配ってみてください。そしてオイル漏れの特定や修理が必要かどうかの判断は、自動車の医者でもあるメカニックにしっかり行ってもらう事をオススメします。
[Dr.輸入車ドットコム編集部]